SHOBU(しょうぶ学園)
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目の前にいる人と関係を作ることが
支援だと思う

猪八重 美希(2008年新卒入職)
社会福祉法人太陽会 しょうぶ学園 デイセンター主任

2008年に短大を卒業後、新卒としてしょうぶ学園に入職された猪八重美希(いのやえ・みき)さん。入職後10年目の現在は、ご自宅やグループホーム(*1)からしょうぶ学園に通われる利用者さんのための場所・デイセンターで主任として勤務されています。
また学園のパーカッションと叫びのグループ“otto & orabu”のリーダーでもあり、ライブ活動や日々の練習で利用者さんと職員混合のチームをまとめています。
そんな猪八重さんに、学園で働くことについてお話を伺いました。

*1 必要に応じてスタッフのサポートを受けながら、利用者の方同士で一般の家で暮らされている介護・福祉の形態。

心地よく過ごしてもらうことに全力を注いだ新人時代

—学生時代は音楽を学ばれていたと伺いました。そこからどのようなきっかけでしょうぶ学園に入られたのでしょうか。

もともとはピアノ、それからフルートをずっと習っていて、短大の音楽科に進学しました。でも将来を考えると演奏家としてやっていくのは難しいだろうなと思って。そうしたなかで音楽療法士という仕事を知りました。それまで演奏しかしてこなかったこともあって、一体どんな世界なんだろう、と興味を持って、学んで。その延長線上で福祉業界に行くことにしました。

しょうぶ学園に入ったきっかけは、大学に届いた求人案内。家からも近いし、と応募しました。それまで学園のことを知らなかったんですが、実は大学時代の先生が当時のotto & orabu外部講師兼ピアノ奏者であることが学園に入ってから分かったんです。「先生どうしてここにいるんですか?」という感じで。ご縁はあったのかもしれないですね。他の施設は受けなかったですし。就職活動をあまり熱心にしなかったんですよね(笑)。

—学園に入ってからはどんな業務に当たられてきましたか?

最初は入所施設の〈あやめ寮〉に配属になり、3人の利用者さんの担当職員としてスタートしました。日々を気持ちよく過ごしてもらうことに注力して、食事、入浴、おトイレ等の生活面の介助をベースに、活動時間はパズルとかブロックのような感覚遊びをしたり、リラックスタイムにしたり。

最初は何をやってもうまくいかなかったですよ。ヘソを曲げた利用者さんに座り込まれ、腹を立てた利用者さんに思い切り怒られ、パニックを起こした利用者さんとぶつかり合ったり…(笑)。今思うと凄いですが、そういうのって総じて、自分が相手のことを分かってなかったり、まだ関係ができないうちに相手の領域に突っ込みすぎたり、こっちが意地になったり。そういう原因が自分の方にあったなと思い当たることだらけなんです。新人のときはもう、何もかもが大変でしたね。今も色々ありながら日々過ごしていることには変わりないんですが。

—今の落ち着いた猪八重さんからは想像がつきません。仕事のなかで音楽に触れる機会はありましたか?

最初は日々を安全に、心地よく過ごしてもらうことで手一杯で、上の人に「昼休みにコンサートを開いたら」なんて言われたりもしたんですが、そうした余裕がないまま日々が過ぎていって。そうするうちに入職して1年ほどでottoのメンバーになることになって。

当時のottoは園長の他に職員が私ともう一人くらいしかいなくて、ほとんどが利用者さんで構成されていました。音ももっとシンプルだった。そこから職員がどんどん入って、今のように威力抜群な音に変わっていきました。

私はフルートの方が好きなんですが、ピアノを弾くことになって「もっと自分をさらけ出せ」とか「楽譜はないからもっと自由に」と言われて「そんなムリなことばかり言われても…」と最初は思っていましたね。今までは、楽譜通りに弾くことが当たり前という世界にいた私にとってはとてもハードルが高かったし、戸惑いも大きかったです。

でも今思うと、ottoを通して自分と向き合いながら、いつでも豊かな自己表現をする利用者のメンバーと演奏していくことで、皆さんへの尊敬が高まっていったし、同じパフォーマーとして負けていられないと思うようになりました。おかげでotto以外の面でも、利用者さんや職員との関わり方、向き合い方も変わっていったように思います。自分を出すということが以前は苦手でしたが、ottoの活動でそういう枠が外れていったんですよね。

型にとらわれず、一人一人の存在を見つめる

—その後、入所施設から通所施設に異動されたんですね。通所のデイセンターはどんなところですか?

あやめ寮に7年間いて、その後デイセンターに異動になって。今3年目で、今年から主任になりました。デイセンターは、ご自宅やグループホームから通いでしょうぶ学園を利用される皆さんのためのセンター。毎日いらっしゃる方もいれば、週に一度だけという方もいて、他の施設と併せて利用されている方もいらっしゃいます。

日におよそ50人が通所されて、そこから木工や陶芸といった工房に移動して活動される方、デイセンターで活動される方に分かれます。デイセンターで活動される方は日に20〜25人くらい。入所の寮と同じようにその方たちの食事、入浴などの日常生活に必要な支援をして、活動時間は絵画、書道、ウォーキング、外出など様々な活動を行っています。

入所と違ってデイセンターは日々いろんな利用者さんがいらっしゃって、個別支援が必要な方も多くいらっしゃいます。入浴介助をする人、家族の方とやり取りする連絡帳を記入する人、と日毎に職員で分担をしていくと、見守りやケアができる人員には限りもあり毎日目まぐるしいですが、皆で協力しあって日々を送っています。

—多岐に渡る業務を行うなかで、心がけていること、大切にしているのはどんなことでしょうか。

まずは、利用者の方が「今日も楽しかったな」と思ってお家に帰ってくれるような場所でありたいなと日々思っています。

それと、福祉の世界ではよく言われることかもしれませんが、例えば「自閉症の利用者さんはこういう行動をします」と本には書かれていますし、そうした知識は支援を考えるうえで大事なのは確か。

でも、一人一人と接すると、本当にみんなそれぞれが違う存在なんです。「この方は○○という障がいを持っている、じゃあこの行動は△△に違いない」というふうには当てはめないようにしたい。「こういう障がいだからこうなんだ」ではなく「この人だからこうなんだ」という目線をブレさせないようにしたいと思っています。これは先輩から教わってきたことでもあり、自分が今まで身をもって体験したことでもあり、後輩に伝えていきたいことでもあります。

福祉、支援の仕事は、対「人」の仕事。型にとらわれていると目の前の利用者の方との付き合いはいつまで経っても深まらないんですよね。例えばもう40年以上勤続されている大先輩がいますが、その方と利用者さんとの関係には当然私は追いつけません。関係を作っていくこと、人付き合いそのものが私たちの仕事なんです。続けていくことで育まれていく部分も多分にあるので、新人はうまくいかないことが多くて当たり前ですね。私も一つ一つ体験して「こういうことなんだな」と学んできました。

同じように見える日々に特別な瞬間が詰まっている

—10年間の学園の日々のなかで印象深かったことにはどんなことがありますか?

初めてGOOD NEIGHBORS JAMBOREE(*2)にotto & orabuとして出演したときは、あんなに大掛かりな野外のステージに出るのがそもそも初めてですし、当時は楽譜や衣装の準備、ご家族への連絡などあらゆる業務を担当していたこともあって、演奏が終わったあと「ファーーーーー」っていうのがものすごくありました。「あぁやり遂げられた」という思いもあったし、演奏していてただ楽しかった。それに事前準備からエネルギーをものすごく使ったし、団結感もすごかったし…いろんなものが集まった「ファーーー」でした(笑)。

*2 鹿児島で2010年より毎年行われている夏の野外フェスティバル。otto & orabuは第一回より毎年出演している。

あのときの演奏の感覚、演奏が終わったときの感覚はずっと覚えていて、もう9年前のことですが。多分他のメンバーもそうだったんじゃないかな、と思います。

—あやめ寮やデイセンターのお仕事ではどんなことが思い出に残っていますか?

利用者さんと毎日付き合っていて、ずば抜けてこの日が良かった、この日がスペシャル、というのは実はあまりないんです。日々の活動には大きな変化はないので。でもスペシャルな日はなくても、一日のなかにたくさん、特別な瞬間はあって、それがこの仕事の楽しさだと思います。利用者さんとの小さなコミュニケーションの瞬間だったり、笑っている顔だったり、ちょっとしたことで言ってくれた「ありがとう」だったり。そういうことのひとつひとつが素晴らしいというか。

そこを自分が感じ取れるかどうかはモチベーションに大きく関わると思います。余裕がないと感じることが難しかったりする。私も利用者さんと接しながら「むーっ」ってなることもあるし、毎日が目まぐるしく過ぎ去って余裕がない、しんどい、と思うこともあります。でもふと周りを見渡すと、「あぁ、いいね」って思うことに溢れている。利用者さんが手を振ってくれてる、それだけで今日も良かったって思ったりしますね。

—しょうぶ学園で働くことに興味がある方にメッセージをお願いします。

ここは「はじめまして」のことをたくさん経験させてもらえる場所だと思います。福祉業界の枠に捕らわれない活動もたくさんしているし。野外フェスに出演するとか、orabu体験をするとか、ものを作るなんて、そんなこと考えもしなかった。自分のことも、利用者さんのことも含めて、社会に何かを発信する側に立てるって、ほんとうに貴重だと思います。

—演奏家としてやっていくのは難しい、と思っていた猪八重さんが毎年野外フェスで演奏しているって面白いですね。

不思議ですよね。お呼ばれして演奏しに行くって…まるでアーティストみたいじゃないかといつも思います(笑)。

—でもステージに立った次の日は、デイセンターで。

お風呂の介助してますね。

猪八重さんの一日のスケジュール例

★ 休日は愛犬と過ごしたり、自転車に乗るのが一番のリフレッシュ!

 


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